ほしのまき

FB や Tw では流れてしまうので、ためておきたいことをここに書きます。

「ゼロ秒思考」(赤羽雄二)の「メモ書き」は、気持ちいい。

もう半年以上も前になりますが、年末年始の休みに「ゼロ秒思考」を読みました。今や6万部を超えるベストセラーだそうです。著者の赤羽さんはマッキンゼー出身。自分も在籍したことがあったご縁で出版されてすぐ、本の存在を知り、手に取ったのです。それから7ヶ月、なんとほぼ毎日、ここに書かれた「メモ書き」を続けてこられました。

 

ゼロ秒思考  頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

 

 

 「思考法」の書籍はあまたあり、私も目を通して感心しては、数日で忘れる、というのが常です。ビジネス書のいいカモなわけですが、そんな三日坊主の私が半年以上続き、実際に効果を感じたものは、この本に「メモ書き」が初めてです。

 

「メモ書き」とは

この「メモ書き」では、A4の紙を横長におきます。赤羽さんは用済みのプリントアウトの裏紙をオススメされてます。そして、1分間で、テーマ、日付、テーマについて頭に浮かぶことを箇条書きで書きます。facebook ページのヘッダになっているサンプル画像を貼っておきます。

f:id:makiko20:20140722224332j:plain

A41枚を1分で。これを1日のうちに10枚書きます。たったこれだけと言えばこれだけですが、いくつかコツがあります。

 

●テーマ

 テーマは仕事でもプラベートでもかまいません。論理的に考えたいことでもいいし、気持ちをぶつけるのでも良いそうです。わたしも、業務手順の整理の仕方、というテーマのメモもあれば、夫のこういうところが気に入らない(笑)、というメモも書いてます。誰にも見せないので、悪口を書くときであっても、はっきり相手の名前も書くし、気持ちもオブラートに包まずちゃんと書くのがオススメ。

 

●箇条書き

箇条書きは1点20ー30字、できれば4、5点という目安があります。これが1分間では、なかなか書けません。始めた頃は、1項目20字程度、3項目が精一杯でした。そのうち、今度は1項目が長くなりすぎるようになってしまいました。今も、長く書きすぎて1分を超えることが常です…。

 

●言葉

言葉を明瞭に、ちゃんとした日本語の文章でかく、というのも大切なポイントです。テーマを決めて書く、というとちょっと構えて、何をどのように書こうか…なんて考えているうちに1分があっという間にたってしまいます。でも、私たちは普段、誰かと会話をするとき、ちゃんとした日本語で、筋道の通った話をしているんですよね。話しながら気づくことや、初めて言葉にできた思いもあったりして。日ごろから、それくらいの思考スピードと表現力を発揮しているのだから、それをがんばってメモに書いてみよう、ということなんですね。

 

 

「メモ書き」の気持ちよさ

この方法が続いている、ということは自分に合ってるということなんだと思います。どうやら、「気持ちいい」んじゃないか、と思い至りました。

 

1.気持ちがいつでも吐き出せて、気持ちいい。

人間関係の不満などを感じたとき、愚痴をメモに書きます。同じテーマで何度も、何日でも書いて良い、そのテーマを書こうと思わなくなったら、その課題が自分にとって過去のものになったと理解すればいい、と赤羽さんは書いておられます。それだけでちょっと救われた気持ちになり、じっさい、同じ人物、同じ課題について数日、数週間にわたって書き続けることもあります。もやもや、いらいらを紙にぶつけるわけですが、ちゃんと言葉にして、しかもフォーマットと1枚1分の縛りがあるので、感情に溺れすぎたり、自己に耽溺し過ぎない気がします。気心の知れた友達に愚痴るのも気晴らしになりますが、いつも付き合わせるわけにいきません。でも、紙に書くならいつでもどこでも吐き出せます。嫌な気持ちに陥ることがあっても、早く処理できるようになったのが、まず最初に実感できた「気持ちよさ」だったように思います。

 

2.考えが次にすぐ進んで、気持ちいい。

何かを考えるとき、頭の中に考えがどんどん浮かんで夢中になっちゃうことがあるのですが、そのまま頭を回転させるに任せると、実は効率が悪いのです。「おお、いま、ノッてる!いけてる、私、天才!」なんて万能感に包まれていても、実は同じことを何度も、何分間も考えていたりするんです。最近は、考えがどんどん浮かぶモードになったら、とにかくこのフォーマットでメモ書きを始めるようにしています。そうすると、そこから連想される次の考えや、反対からの見方などに思考が広がることが増えました。書くと頭の中でぐるぐるしていたことが目の前に見え、思ったほど筆が進まないときもあって、「あ、意外に大したことなかったかも」など、そこですっきり気が済んで、無駄な万能感や自信喪失感に陥る前に、次のことに移れます。人と話すと考えが整理のされたり、発展したりすることがありますが、メモ書きで、それがひとりで好きなときにできる感じです。

 

こうして気持ちを吐き出したり考えをとりあえず出してみるということをやりたいときに毎日やっていると、いろいろ溜め込まず、すっきりと次に進むサイクルが早くなるようで、気持ちいいです。

 

3.自己理解が進んで、気持ちいい。

赤羽さんは、考えることは言葉にすることであり、さまざまな相手にもニュアンスが正確に伝わるような言葉選びができることが、考えることの基本をなすとされています。これは、すごく大切なことだと私も思います。ひとには言葉にならない「思い」「感じ」があり、それはとても大切です。でも、だからといって、「言葉にならない」「下手に言葉にしないほうがいい」「言葉にならないところを感じて察するのが美徳」と、簡単に言い過ぎてはいけないのではないでしょうか。自分の考えや感情をなるべく書き言葉で、誤解なく表現する努力を重ねると、自分や周囲に理解される思いや事柄の範囲が広がります。同時に、言葉にできること、伝えられることの限界も見えてきます。その限界の向こう側が、まだ言葉に十分にならない「思い」なんだと、少しずつ自覚が進んできた気がします。そうした自己理解の深まりも、「気持ちよさ」につながっているように感じます。

 

 

形式化からうまれる「自由」

こうした気持ちよさは、「書く」ことから生まれていますが、この本で提案されているフォーマットが、取り組みやすく、続けやすいと私が感じた秘訣でした。これは、今回この投稿を書きながら、改めて認識できたことです。 

 

以前から、書くと考えが深まったり広がったり、気持ちが吐き出せると感じてはいました。でも、これまであまりひんぱんに書いてこなかったのは、思えば、都度、いま書くべきか、何に書くか、紙かデジタルか、どの程度の深さで書くか、書いたものをどうするか、といったジャッジが先に必要だったから。それらのジャッジを経て、書く理由がないと書かなかったからだと思います。フォーマット化、ルーティン化されて、1枚1分×10枚、つまり10分と決まっていることが、ハードルを下げてくれました。

 

実は、裏紙を使うよう推奨されていることも、ここで効いてきています。試したわけではないのですが、ノートを使うと、無意識のうちに枚数の限度を感じてしまい、このページ数で終わらせようと思考に枠をはめてしまいそうです。また、コピー用紙を買って使っても、どこかでもったいないと感じてしまい、考えや気持ちを気が済むまで吐き出すことにブレーキをかけてしまいそうです。私の生活環境では、職場の用済み資料や子どもの学校の配布物で期限が過ぎたものなど、裏紙はいまのところ十分にあります。興が乗ると、1回に数十枚書くこともあり、物理的制約なく気が済むまで書けることは、私にはすごく大切に感じられます。ただ、難点は、裏紙を束にしてクリップどめしたものを持ち歩いていると、やや貧乏くさいというか、「持っていてうれしい」きもちにならないところです。これだけは、もう一工夫したいところ。

 

手を動かし続け、考えるスピードで頭のなかにあるものが文字になり、それが目から入る。これが全部セットでよい刺激になり、「気持ちよさ」につながります。ですので、私の場合は「手書き」がベストです。PCでもブラインドタッチでかなり早く打てるのですが、漢字の変換のたびに思考が止まってしまいます。PCは、手書きのメモ書きで吐き出し、構造化した素材を、文章にくみ上げて肉付けする、という使い方になっています。

 

私も律儀に毎日メモ書きをしているわけではありません。考えを書き出す「メモ書き」を1枚もやらない日もあります。でも、ミーティングなどのメモも、このフォーマットで取るようになりました。聞いた記録と考えのメモを同じフォーマットにして、テーマ別のクリアファイルに分けています。そうやって、この紙とペンで書くリズムを日々刻んでいると、書きたい気持ちや考えが浮かんだらすぐに1分間メモ書きに入れるようになりました。

 

こうして書いてみると、フォーマットを決めることで取り掛かるハードルが下がり、得られた自由と、裏紙をという「タダ」の無尽蔵にあるものを使うことで得られる自由のくみあわせが、私には合っていたんだな、と改めて認識できました。

 

いつまで続くか分からないけれど、とりあえず、この半年間の自分がそれ以前より多少なりとも精神が安定して前に進む力が発揮できてる気がしていて、それはこのメモ書きの効果だと思います。

 

ゼロ秒思考  頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

 

 

関連リンク

「ゼロ秒思考」メモを書いて悩みをなくし、頭を整理しよう | Facebook

「ゼロ秒思考」 | 赤羽雄二のブレークスルーブログ

赤羽 雄二さんの「ゼロ秒思考」オンライン授業 - schoo(スクー) WEB-campus