2017年に読んだ46冊
ふと思いついて、2017年に読んだ本をリストアップしてみました。46冊出てきました。記録がいい加減で、抜けてるのもあると思うのですが、おおよそ読んだ順で。
1.
2.
3.
How Adam Smith Can Change Your Life: An Unexpected Guide to Human Nature and Happiness
- 作者: Russ Roberts
- 出版社/メーカー: Portfolio Penguin
- 発売日: 2015/09/03
- メディア: ペーパーバック
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4.
5.
今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則 『ジャイアントキリング』の流儀
- 作者: 仲山進也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: Kindle版
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6.
The Undoing Project: A Friendship that Changed the World
- 作者: Michael Lewis
- 出版社/メーカー: Penguin
- 発売日: 2017/10/31
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7.
8.
The Progress Principle: Using Small Wins to Ignite Joy, Engagement, and Creativity at Work
- 作者: Teresa Amabile,Steven Kramer
- 出版社/メーカー: Harvard Business School Pr
- 発売日: 2011/07/19
- メディア: ハードカバー
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9.
Work Pause Thrive: How to Pause for Parenthood Without Killing Your Career
- 作者: Lisen Stromberg
- 出版社/メーカー: Benbella Books
- 発売日: 2017/01/31
- メディア: ハードカバー
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10.
孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術
- 作者: 三木雄信
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/02/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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11.
ファイナンスの哲学―――資本主義の本質的な理解のための10大概念
- 作者: 堀内勉
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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12.
13.
14.
ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか
- 作者: ドン・タプスコット,アレックス・タプスコット,高橋璃子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/12/02
- メディア: 単行本
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15.
16.
あなたが伸びれば、会社も伸びる!―起業経営者のための4段階成長術
- 作者: キャサリンカトリン,ジェイナマシューズ,Katherine Catlin,Jana Matthews,阪本啓一
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
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17.
18.
「半径5メートル最適化」仕事術 おしゃべりな職場は生産性が高い
- 作者: 佐々木希世
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2017/06/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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19.
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21.
22.
23.
24.
25.
仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント
- 作者: アン=マリー・スローター,篠田真貴子(解説),関美和
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2017/07/31
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26.
Unfinished Business: Women Men Work Family
- 作者: Anne-Marie Slaughter
- 出版社/メーカー: Oneworld Publications
- 発売日: 2016/05/12
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27.
28.
- 作者: ベルンハルトシュリンク,Bernhard Schlink,松永美穂
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/05/28
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 104回
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29.
30.
31.
The Power of Moments: Why Certain Experiences Have Extraordinary Impact
- 作者: Chip Heath,Dan Heath
- 出版社/メーカー: Simon & Schuster
- 発売日: 2017/10/03
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32.
モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)
- 作者: 尾原和啓
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/09/27
- メディア: Kindle版
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33.
34.
- 作者: Hillary Rodham Clinton
- 出版社/メーカー: Simon & Schuster Ltd
- 発売日: 2017/09/01
- メディア: ハードカバー
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35.
36.
Option B: Facing Adversity, Building Resilience, and Finding Joy
- 作者: Sheryl Sandberg,Adam Grant
- 出版社/メーカー: Knopf
- 発売日: 2017/04/24
- メディア: ペーパーバック
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37.
38.
39.
40.
会社は社会を変えられる 社会問題と事業を〈統合〉するCSR戦略
- 作者: 岩井克人,小宮山宏
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2014/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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41.
42.
43.
「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門
- 作者: 吉田典生
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2017/11/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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44.
45.
ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか―――世界トップのビジネススクールが伝えたいビジネスの本質
- 作者: 山崎繭加,竹内弘高
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/08/19
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46.
2014年上半期もっとも示唆深かった「サーチ!」(チャディー・メン・タン著)
「サーチ!」(2012年出版)。原題はSearch Inside Yourself. グーグル本社に数ある社内研修の中で、
【日本語訳】
【原著】
Search Inside Yourself: The Unexpected Path to Achieving Success, Happiness (and World Peace)
- 作者: Chade-Meng Tan,Daniel Goleman,Jon Kabat-Zinn
- 出版社/メーカー: HarperOne
- 発売日: 2012/04/24
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研修の目的は、EQ、言い換えると自制心や共感力など「
著者のチャディー・メン・タンさん、通称メンは、
「サーチ!」は、facebook経由で知りました。5月初旬、
「イノベーション思考の礎になる定番本5冊ですって。
そこに、ビジネスマンから僧侶に転じた知り合いが、
そうしたら、予想を超えるオドロキと、発見と、ワクワク!
まず内容をごく簡単にご紹介します。
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リーダーの力は、フレームワークを作る力、作る個性
先日、ミスミ元会長の三枝匡さんの講義をうかがう機会に恵まれました。
三枝さんは、30歳代で2つの企業の社長をつとめた後、売上数百億円規模から兆円規模まで、複数の日本企業の業績立て直しに携わってこられました。どのケースもリストラなしで、高成長、高収益に回復させていて、その様子は小説仕立ての著書3部作にまとまっています。ロングセラーの3部作のほか、経営学者の伊丹さんとの対談集「日本の経営を創る」も大好きで、この講義は「ご本尊の肉声をきけるなんて…」とわくわくしながらのぞみました。
以下3冊が「3部作」です。
経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 三枝匡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 文庫
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講義は一言一句、得るところ大でしたが、中でも毎日のように思い出していることがあります。
経営リーダーの力量は、フレームワークの蓄積・解凍能力で決まる
「経営リーダー」。あまり一般的ではない表現ですね。三枝さんのおっしゃる「創って、作って、売る」、商品やサービスを企画し(創って)、生産したり実現して(作って)、顧客に届けフォローする(売る)のワンセット全体に責任をもつ仕事をしているひと、だと私は理解しています。会社によっては大きな事業部のトップになるかもしれません。私の職場では3人くらいの小さなチームで商品企画の「創って、作って、売る」がまわっています。
さて、その経営リーダーとは、どんな仕事をするのか。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
経営リーダーの仕事は3つ。
1.なぞ解き。目の前の混沌とした問題を「単純化」する。「これは、こういうことなんだよ」。
2.説明。問題をシンプルに、熱く語る。(熱さが、その人の個性)
3.行動を束ねる。人々の行動を集中させる。
経営リーダーの力量は、1つめのなぞ解きの力 = フレームワークの蓄積・解凍能力で決まってくる。
フレームワークとは、経験・知見を単純化し、抽象化して、
「考え方、見方、構図、概念、コンセプト」に転化したもの。
目の前の混沌としているように見える状況について、
原因と結果を見抜き、それをたくさん蓄積して敷衍化したもの。
フレームワーク(=引き出し)が多い人は、
組織の解決行動をスピードアップできる。
混沌の本質をいつも解き明かし、問われたらすぐこたえられる。
目の前の問題を、初めてみる個別のその場限りの状況としか思えないひとは、
自分の過去の経験、先人の学び、 普遍的なものの見方、概念などを
利用できることに気づかず、より賢い行動をとることができない。
学者は抽象化=普遍的なフレームワークづくりが仕事。
経営者は、解凍能力、つまり
適切なフレームワークを引き出しから取り出して、現場に適用し、問題解決するのが仕事。
強い経営者は、フレームワークを作れる。
強い企業は、フレームワークを生み出し、共有することに長けている。
フレームワークは、単語 → 構図 → コンセプト/原理/思想 と3段階でレベルアップする。
コンセプトのレベルまでのものを生み出すには、
自社内の経験を抽象化して蓄積したものに加えて、
異種・異分野のものの見方やコンセプトも引き出しに持つことが必要。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
フレームワークを原理原則と言い換えてもいいですね。社内で力になってくれるひとは、フレームワークを共有できてる。意見の合わないあのひとは、きっと違うフレームワークを持っている。そんなふうに考えることもできそうです。
中でも含蓄があるなあ、と思ったのは、最後の「フレームワークの3段階」です。
素人考えですが、イメージをつかみやすくするため、家具のIKEAを理解するフレームワークを3段階にしてみました。
レベル1:単語 「安くておしゃれな家具」
レベル2:構図 他社とは異なり、バリューチェーンに購入者を巻き込んでる。
購入者が店舗で家具を倉庫状の売り場でピッキングし
組み立てることで、「安くておしゃれ」な家具を提供する
レベル3:コンセプト デモクラティックデザイン - IKEA
フレームワークの蓄積・解凍の仕方に個性が表れる
さて、どのようなフレームワークを真似し、蓄積し、いずれは生み出すようになるか。これが経営リーダーの個性、ひいては事業の個性になるんだな、と思い当たりました。 目の前におる状況は、ちゃんと対応すべきか放っておいてよいか、good news か bad newsか。同じ状況に出会っても、それがどんな意味でどう行動したらいいか。ひとや事業によって、抽出する意味合いはかわります。
この点に関連して、ピクサー社長であり、ディズニー・アニメーション・スタジオの責任者でもあるエド・キャットマルが、最新刊「Creativity, Inc.」で紹介してる章が示唆深いと思いました。
Creativity, Inc.: Overcoming the Unseen Forces That Stand in the Way of True Inspiration
- 作者: Ed Catmull,Amy Wallace
- 出版社/メーカー: Random House
- 発売日: 2014/04/08
- メディア: ハードカバー
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詳しくはこちらに書きましたが、
ピクサー社長エド・キャットマル (Ed Catmull)の新著からのメモ −その2|篠田真貴子|note
人はだれしも、自分のまわりの世界を整理し理解するために、「型」をもっている。そして一緒に働いている者どうしは接点が多く、長い時間を共有しているために、「型」が互いの存在と深く結びついて、不可分になっている。こう書いているんですね。
エドは、この章では「型」のもたらすマイナス面に焦点をあて、それを回避したり和らげる工夫について筆をすすめています。ここで私は一歩ひいて、「型」そのものの存在と、それが近しい人間関係と深く結びついているという洞察を、三枝さんの教えてくださった「経営リーダーの力はフレームワークを蓄積し、解凍する力で決まる」とセットで理解しておこうとおもったのです。
粘り強いチーム、アイディアがどんどん出るチームは、リーダーがそういうフレームワークを持ち込んでいるのでしょう。さらに、ほかのチームに所属していた時は普通のはたらきの人が、そのチームの中では大きく力を発揮して育つ、ということが起きるのは、チームの人間関係とフレームワーク理解・実行力が密接に結びついているんだな、という視点が整理できました。採用など、チームに新しいメンバーを迎える時に既存メンバーとの相性を確認するのも、単に仲良くしたいということではなく人間関係のあり方とチームのフレームワーク共有が不可分だからなんですね。人事異動や転職も、職場の人間関係を刷新して、その人やチームが持つフレームワークもリフレッシュする効果があるんだと思います。
経営リーダーの力はフレームワークの力であり、フレームワークは人間関係と密接につながっている、という考え方下敷きにすると、職場にダイバーシティが必要だとか、外部取締役を増やそう、といった議論もより本質的になります。経営リーダーは、レベル3のコンセプトを生み出すことを目指したい。それには異分野のコンセプトを引き出しに持つことが有効。フレームワークと人間関係の密接なつながりを踏まえれば、異分野のコンセプトを身につけたひとをチームに迎えるのは、経営リーダーとして力を高め、レベル3のフレームワークを生み出すのにおおいにプラスになるはずです。
フレームワークを自ら生み出すのは、並大抵のことではありません。三枝さんも、はじめは既存のフレームワークを真似し、自分の現場に応用することからスタートするんだ、とおっしゃっていました。
私も、三枝匡さんの講義やエド・キャットマルの本から教わったことを、日頃の仕事や生活の中で引き出しから取り出して便利に使ってきました。このフレームワークをちゃんと自分のものにしたくて、そのステップのひとつとして、ブログに書いてみました。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
経営者と投資家の「ずれ」の源
サイボウズ山田副社長との対談記事をサイボウズ式に掲載していただきました。
「赤字って本当にいけないことですか?」東京糸井重里事務所 篠田CFO×サイボウズ 山田副社長対談 | サイボウズ式
facebook, twitter, NewsPicksで、多くの建設的な感想が寄せられ、自分の考えをさらに進めるとてもよい機会になりました。みなさま、ありがとうございます。
目下の私の関心事を記事から2カ所、引用します。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
結局、「個別事業の固有性独自性を追求する経営者」対「いろいろな事業を統一の物差しで並べて比較したい投資家」の意識の違いがあるのではないかと感じます。
投資家にとってみれば、世の中にあるたくさんの会社から投資先を選ぶ仕事なので、似ている会社を並べて統一の物差しをあてないと理解判断できなくなるわけですよね。しかし経営者は、誰でも、他社と違うことをして、差別化をして、そこで利益を出そうとします。極端に言えば「●●社に似ている」と思われたら、差別化が足りないんです。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
ー*ー*ー*ー*ー*ー
会社には、社員、お客さま、取引先などさまざまなステークホルダーがいます。よい会社では、長期的な利益と発展が共通の"うれしいこと"や"価値"に直結します。ところが、外部株主だけは、違った動機で関わることができ、経営への影響力も大きい。投資家は他のステークホルダーとは違って売りと買いの両方が短期間でできるため、目指すところがずれやすいのではないかと感じます。経営者も社員も顧客も変わっていないのに株主だけが入れ変わっていて、それでいながら株主の権利が一番、みたいな論調がある。資本市場はとても大事ですが、そこには疑問を感じているんです。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
こうした経営者と投資家の「ずれ」の源は何なのか。いくつか考えている角度があり、備忘録として書いておきます。
1.「統一の物差し」は、知的営みの成果。使い方はどうなの?
経営に関する実績、ロジック、ストーリーテリングと三拍子揃った、大リスペクトする三枝匡さん。「三部作」と言われる小説仕立ての経営論が有名ですが、私は「『日本の経営』を創る」が大好きです。これは、と思うページの角を折っていたら、ほぼ全ページ折ってたというほど。
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「なぜローカル経済から日本は甦るのか」(冨山和彦)
冨山和彦さんにご著書を頂いた。
(以下の感想は、FBに投稿したものと同じです。)
冨山さんは、BCG、CDI、産業再生機構COO、JALの再生といったご経歴のイメージが強いけど、今経営されているコンサルティング会社IGPIは、被災地を含む東北各県のバス会社を束ねるみちのりホールディングスの100%株主。つまり超ローカルな路線バス会社の経営もされている。そこから、グローバルに戦わざるを得ない企業の世界(G)と、ローカル密着の企業の世界(L)はまったく原理が違う、起きている構造問題も違うこと、そして、日本は両方あるし、実はほとんどの産業は「L」なんだから、それぞれが、それぞれのやり方で良くなっていくことを考えようよ、という姿勢で書かれた本。
Lが労働人口減少という史上初めての環境変化に直面していることなど、ファクトに「おー!」とびっくりするものが複数。アイディアも、Lの成功基準は「県大会上位」レベル、カギは労働生産性と穏やかに退出を促し集約化を図る「スマートレギュレーション」。外国人投資家に褒められるようなガバナンスは不要で、「非営利ホールディングカンパニー」のような形のほうがいいかも、と。東証をGとLに分けるというアイディアなんかも面白かった。気仙沼や被災地に通って仕事をしているみなさん、地方で仕事してる皆さんの肌感覚、感想をききたいと思いました。
また、ビジネスメディア、ウェブメディアで見かける言説、何か違うと感じていたのが、少しすっきり。Gの論理でLの分析をしているケースや、Gの論理の理解が表面的なケースだったのね。自分がGワールド出身で、いまの仕事はLのほうだから、よけい感じたのかも。
Lの中核はサービス業で、この本では著者のバス会社経営経験に近い、地域インフラのタイプの話が中心だった。そういう「ニーズを満たす」もののほか「ウォンツにこたえる」サービス業、例えばライブ、美容、教育など、今の職場に近い業態のLのことを、この本をきっかけに考えてみたいです。
「ゼロ秒思考」(赤羽雄二)の「メモ書き」は、気持ちいい。
もう半年以上も前になりますが、年末年始の休みに「ゼロ秒思考」を読みました。今や6万部を超えるベストセラーだそうです。著者の赤羽さんはマッキンゼー出身。自分も在籍したことがあったご縁で出版されてすぐ、本の存在を知り、手に取ったのです。それから7ヶ月、なんとほぼ毎日、ここに書かれた「メモ書き」を続けてこられました。
「思考法」の書籍はあまたあり、私も目を通して感心しては、数日で忘れる、というのが常です。ビジネス書のいいカモなわけですが、そんな三日坊主の私が半年以上続き、実際に効果を感じたものは、この本に「メモ書き」が初めてです。
「メモ書き」とは
この「メモ書き」では、A4の紙を横長におきます。赤羽さんは用済みのプリントアウトの裏紙をオススメされてます。そして、1分間で、テーマ、日付、テーマについて頭に浮かぶことを箇条書きで書きます。facebook ページのヘッダになっているサンプル画像を貼っておきます。
A41枚を1分で。これを1日のうちに10枚書きます。たったこれだけと言えばこれだけですが、いくつかコツがあります。
●テーマ
テーマは仕事でもプラベートでもかまいません。論理的に考えたいことでもいいし、気持ちをぶつけるのでも良いそうです。わたしも、業務手順の整理の仕方、というテーマのメモもあれば、夫のこういうところが気に入らない(笑)、というメモも書いてます。誰にも見せないので、悪口を書くときであっても、はっきり相手の名前も書くし、気持ちもオブラートに包まずちゃんと書くのがオススメ。
●箇条書き
箇条書きは1点20ー30字、できれば4、5点という目安があります。これが1分間では、なかなか書けません。始めた頃は、1項目20字程度、3項目が精一杯でした。そのうち、今度は1項目が長くなりすぎるようになってしまいました。今も、長く書きすぎて1分を超えることが常です…。
●言葉
言葉を明瞭に、ちゃんとした日本語の文章でかく、というのも大切なポイントです。テーマを決めて書く、というとちょっと構えて、何をどのように書こうか…なんて考えているうちに1分があっという間にたってしまいます。でも、私たちは普段、誰かと会話をするとき、ちゃんとした日本語で、筋道の通った話をしているんですよね。話しながら気づくことや、初めて言葉にできた思いもあったりして。日ごろから、それくらいの思考スピードと表現力を発揮しているのだから、それをがんばってメモに書いてみよう、ということなんですね。
「メモ書き」の気持ちよさ
この方法が続いている、ということは自分に合ってるということなんだと思います。どうやら、「気持ちいい」んじゃないか、と思い至りました。
1.気持ちがいつでも吐き出せて、気持ちいい。
人間関係の不満などを感じたとき、愚痴をメモに書きます。同じテーマで何度も、何日でも書いて良い、そのテーマを書こうと思わなくなったら、その課題が自分にとって過去のものになったと理解すればいい、と赤羽さんは書いておられます。それだけでちょっと救われた気持ちになり、じっさい、同じ人物、同じ課題について数日、数週間にわたって書き続けることもあります。もやもや、いらいらを紙にぶつけるわけですが、ちゃんと言葉にして、しかもフォーマットと1枚1分の縛りがあるので、感情に溺れすぎたり、自己に耽溺し過ぎない気がします。気心の知れた友達に愚痴るのも気晴らしになりますが、いつも付き合わせるわけにいきません。でも、紙に書くならいつでもどこでも吐き出せます。嫌な気持ちに陥ることがあっても、早く処理できるようになったのが、まず最初に実感できた「気持ちよさ」だったように思います。
2.考えが次にすぐ進んで、気持ちいい。
何かを考えるとき、頭の中に考えがどんどん浮かんで夢中になっちゃうことがあるのですが、そのまま頭を回転させるに任せると、実は効率が悪いのです。「おお、いま、ノッてる!いけてる、私、天才!」なんて万能感に包まれていても、実は同じことを何度も、何分間も考えていたりするんです。最近は、考えがどんどん浮かぶモードになったら、とにかくこのフォーマットでメモ書きを始めるようにしています。そうすると、そこから連想される次の考えや、反対からの見方などに思考が広がることが増えました。書くと頭の中でぐるぐるしていたことが目の前に見え、思ったほど筆が進まないときもあって、「あ、意外に大したことなかったかも」など、そこですっきり気が済んで、無駄な万能感や自信喪失感に陥る前に、次のことに移れます。人と話すと考えが整理のされたり、発展したりすることがありますが、メモ書きで、それがひとりで好きなときにできる感じです。
こうして気持ちを吐き出したり考えをとりあえず出してみるということをやりたいときに毎日やっていると、いろいろ溜め込まず、すっきりと次に進むサイクルが早くなるようで、気持ちいいです。
3.自己理解が進んで、気持ちいい。
赤羽さんは、考えることは言葉にすることであり、さまざまな相手にもニュアンスが正確に伝わるような言葉選びができることが、考えることの基本をなすとされています。これは、すごく大切なことだと私も思います。ひとには言葉にならない「思い」「感じ」があり、それはとても大切です。でも、だからといって、「言葉にならない」「下手に言葉にしないほうがいい」「言葉にならないところを感じて察するのが美徳」と、簡単に言い過ぎてはいけないのではないでしょうか。自分の考えや感情をなるべく書き言葉で、誤解なく表現する努力を重ねると、自分や周囲に理解される思いや事柄の範囲が広がります。同時に、言葉にできること、伝えられることの限界も見えてきます。その限界の向こう側が、まだ言葉に十分にならない「思い」なんだと、少しずつ自覚が進んできた気がします。そうした自己理解の深まりも、「気持ちよさ」につながっているように感じます。
形式化からうまれる「自由」
こうした気持ちよさは、「書く」ことから生まれていますが、この本で提案されているフォーマットが、取り組みやすく、続けやすいと私が感じた秘訣でした。これは、今回この投稿を書きながら、改めて認識できたことです。
以前から、書くと考えが深まったり広がったり、気持ちが吐き出せると感じてはいました。でも、これまであまりひんぱんに書いてこなかったのは、思えば、都度、いま書くべきか、何に書くか、紙かデジタルか、どの程度の深さで書くか、書いたものをどうするか、といったジャッジが先に必要だったから。それらのジャッジを経て、書く理由がないと書かなかったからだと思います。フォーマット化、ルーティン化されて、1枚1分×10枚、つまり10分と決まっていることが、ハードルを下げてくれました。
実は、裏紙を使うよう推奨されていることも、ここで効いてきています。試したわけではないのですが、ノートを使うと、無意識のうちに枚数の限度を感じてしまい、このページ数で終わらせようと思考に枠をはめてしまいそうです。また、コピー用紙を買って使っても、どこかでもったいないと感じてしまい、考えや気持ちを気が済むまで吐き出すことにブレーキをかけてしまいそうです。私の生活環境では、職場の用済み資料や子どもの学校の配布物で期限が過ぎたものなど、裏紙はいまのところ十分にあります。興が乗ると、1回に数十枚書くこともあり、物理的制約なく気が済むまで書けることは、私にはすごく大切に感じられます。ただ、難点は、裏紙を束にしてクリップどめしたものを持ち歩いていると、やや貧乏くさいというか、「持っていてうれしい」きもちにならないところです。これだけは、もう一工夫したいところ。
手を動かし続け、考えるスピードで頭のなかにあるものが文字になり、それが目から入る。これが全部セットでよい刺激になり、「気持ちよさ」につながります。ですので、私の場合は「手書き」がベストです。PCでもブラインドタッチでかなり早く打てるのですが、漢字の変換のたびに思考が止まってしまいます。PCは、手書きのメモ書きで吐き出し、構造化した素材を、文章にくみ上げて肉付けする、という使い方になっています。
私も律儀に毎日メモ書きをしているわけではありません。考えを書き出す「メモ書き」を1枚もやらない日もあります。でも、ミーティングなどのメモも、このフォーマットで取るようになりました。聞いた記録と考えのメモを同じフォーマットにして、テーマ別のクリアファイルに分けています。そうやって、この紙とペンで書くリズムを日々刻んでいると、書きたい気持ちや考えが浮かんだらすぐに1分間メモ書きに入れるようになりました。
こうして書いてみると、フォーマットを決めることで取り掛かるハードルが下がり、得られた自由と、裏紙をという「タダ」の無尽蔵にあるものを使うことで得られる自由のくみあわせが、私には合っていたんだな、と改めて認識できました。
いつまで続くか分からないけれど、とりあえず、この半年間の自分がそれ以前より多少なりとも精神が安定して前に進む力が発揮できてる気がしていて、それはこのメモ書きの効果だと思います。
関連リンク
「ゼロ秒思考」メモを書いて悩みをなくし、頭を整理しよう | Facebook
赤羽 雄二さんの「ゼロ秒思考」オンライン授業 - schoo(スクー) WEB-campus
子どもの歯医者さんに学ぶ、「やる気」を引き出すコミュニケーション
小1の子どもを歯医者に連れて行きました。乳歯が抜けないのに上から永久歯が生え始めてしまったのです。もともと、めんどくさい歯医者通い。ウェブ検索であたりをつけ、予約しました。行ってみたら、これが、大当たり!以前通っていた歯医者さんはちょっと遠くて、何となく行かないままになっていたのに、子どもも「歯、抜くのかなあ」とドキドキ、嫌がっていたのに、今回の歯医者さんは、「次も行こうね」「にぃににも行ってもらおう」子どもも私も「やる気」を刺激されて帰ってきたのです。ポイントは、コミュニケーションにありました。
その歯医者さんでは、歯を一通り診察すると、続いて太いペン型の道具を取り出しました。まず永久歯が生え始めているところに当て、足もとのペダルを踏みます。すると、その部分の写真が横のモニター画面に現れました。撮影していたのです。ペン型のデジカメを奥歯や歯の裏に当ててはペダルを踏み、5、6分後、画面には子どもの歯の写真が10枚ほど並びました。鮮明なアップ画像です。
「○ちゃん、いいかな?ここ見てね。これは、○ちゃんが赤ちゃんのときに生えてきた歯。(画面をなぞると、黄色でその部分が強調される)こっちに少し見えるのが、これから生える、大人の歯ね。赤ちゃんの歯がここにあるとじゃまで、大人の歯はまっすぐ下向き生えてこられないのね。赤ちゃんの歯は、少しだけぐらぐらしてるでしょう。大人の歯の隙間を作ってあげるために、今日、抜こうと思うの。」
とてもゆっくり、滑舌よく、「あのー」といったことばも間にはさまりません。子どもの目をみて、表情を汲み取りながらお話しくださっているのがよくわかります。
「それからね、これ。○ちゃんの前歯の裏側だよ。初めて見るでしょう?歯の根元のほう、少し黄色くなってるの、分かるかな。これはね、『歯垢』っていってね…」
そこで画面の片隅をタッチすると、バクテリアの顕微鏡動画にパッと切り替わります。細長いものが画面いっぱいに、うようよとうごめいています。
「これね、ばい菌の写真。この『歯垢』の中には、こういうばい菌がたまってるの。分かる?だから、次、もう1回来てもらって、先生にここをお掃除させてほしいの。それから、ばい菌を自分で毎日お掃除できるように、歯磨きの練習もしてほしいのね。つまり、今日は、歯を抜く。次は、先生がお掃除した後、歯磨きの練習。来られるかな?」
モニター画面に見とれて写真を撮り損なってしまったのですが、同じ歯医者さんに行った方のブログ記事を見つけましたので、そちらの写真を引用します。こちらでは、レントゲン写真も表示されてますね。
「歯の健康3●まずは画面写真で自分の口の中を把握する」サテンドール
このような説明を受け、子どもはすっかり納得。「子どもの歯はぐらぐらしてるから、先生がぐっと引っ張って抜いてもいいし、痛いのを感じないお注射してから抜くのでもいいよ。どっちにする?」これも、親の私のほうは一切見ず、子どもに意思確認をします。
「ちゅうしゃ、しない。」(キッパリ)
「オッケー、注射しないね。少し痛いかもしれないけど、我慢できるかな?」
「だいじょうぶ。」(キッパリ)
子どもは自ら麻酔なしを選び、泣きもせずに乳歯を抜いてもらいました。
親にも現状の説明、今後の通院計画の内容や回数の見込みをきちんと説明してくださいました。こちらが話すときも、じっくり聞いてくださる印象です。
この歯医者さんのやり方は、「やる気」を引き出すコミュニケーションの素晴らしいお手本になるなあ、と感心しながら帰ってきました。ポイントは3つほどあります。
1.労力、コスト、投資を惜しまない。
歯医者さんは、恐らく始めの2分で診断はつけていた様子です。そこから、5、6分かけてコミュニケーションのため(だけかどうか分かりませんが)に写真を撮り、さらに5、6分かけて子どもに画像を見せながら説明をしています。撮影に使ったデジカメや表示のタッチパネル、バクテリアの動画素材など、こうしたコミュニケーションを行うための設備に投資もしています。歯医者さんも衛生士さんも、子どもへの話し方は皆さん同じように、ゆっくり、滑舌よく、目をみていました。何かしら、トレーニングを受けているのではないかと思います。
仕事でもそれ以外でも、「相手が分かってくれない」というフラストレーションを感じることは、よくあります。冷静になってふり返ると、自分がそのコミュニケーションに時間もコストもしっかりかけないとだめだという、見積もりや覚悟が足りなかったんですね。昔、経営コンサルティングの会社にいたとき、課題を解くための組み立てと、コミュニケーションの組み立ては別物と考え、しっかり準備するものなんだと理解しました。そのことを、この歯医者さんで再確認できました。
2.脅さない。でも短時間でよくわかるように。
歯医者さんが子どもに伝えた内容は、「すごーく痛くなるよ」「放っておくと虫歯だらけになるよ」といった「脅し」は全くありませんでした。永久歯が伸びて行く場所に乳歯があるという事実、歯の裏に歯垢がたまっているという事実を、アップの鮮明な画像と、分かりやすく無駄のない説明で、インパクト強く、伝えています。
相手から共感、同意を得られるようなコミュニケーションには、共感力、知性、工夫が必要です。「自分がもう分かっちゃってる」状態で、「分かってない相手」のことを想像し、コミュニケーションを組み立てるのは、決して簡単じゃないから。推察、準備、仮説と検証を繰り返さないといけません。コミュニケーションを安易に見積もっていたり、通じるまでトライアンドエラーを繰り返す覚悟が弱いと、脅しやセンセーショナルな表現に陥り易いんじゃないでしょうか。
例えば、小さな子どもが道ばたにしゃがみ込んでいるのを「早くしないと置いてくよ!」と叱る大人を見かけます。私自身、一度ならず言ってしまったことはあり、そのたびに後悔してます。というのも、私はこういう「脅し」が大嫌いだから。本当に置いていく意志はないのに…って思っちゃいます。子どももそれを分かっているから、構わずありんこを見続けたりしますよね…。
3.目的を、「相手が『自ら』動くようになること」からぶらさない。
歯医者さんがここまでの労力を投入して、子どもにコミュニケーションしているのは、「自ら歯の健康を守る態度」を身につけさせたいからだろうと思います。この歯医者さんの話を友人にしたところ、その人も似た経験がある、と教えてくれました。10年以上前のことだそうですが、友人のお子さんが通った歯医者さんは、初めての診察のあと、治療についてお子さんが納得するまで30分ほど、ずっと対話を重ねたそうです。親である友人のほうが「先生、もういいから治療しちゃって下さい」といいたくなるほどだったとか。「でも、そのお陰で、うちの子達は歯医者を一切嫌がることなく、自分から通うようになった」。
歯を抜くためだけだったら、今回のコミュニケーションは無駄に感じられるかもしれません。子どもですし、大人が「脅し」ながらきつく言い聞かせ、暴れたら押さえつけてしまえばいいのですから。コミュニケーションの時間を短縮して、もっと大勢の患者さんを診るようにすれば、収入も増えそうですしね、少なくもと一時的には。
コミュニケーションの目的は、「歯医者さんに都合の良い、短期的なもの」ではなく、歯医者さんと患者さん双方に大切な、長期的なものを共有して、患者さんが「自ら歯の健康管理のイニシアチブを持つこと」なんだと思います。
商談に望むとき、子どもの担任の先生と面談するとき。私たちの仕事や暮らしの中でも、コミュニケーションを組み立てなくちゃ、と思う場面はたくさんあります。何を聞くか、何を伝えたいか、対話の内容ばかり考えてしまいがちですけれど、ほんとうは、この歯医者さんのように、自分と相手の双方にとって長期的に大切なことを見定め、そこに向かって相手も「自ら」イニシアチブをもって動くことを考えるべきなんだな、と実感しました。相手が「喜んでそうしたい」と思ってくれたら、これほど楽で、互いにハッピーなことってないですものね。実際、「やる気」いっぱいになって帰ってきた私たち親子は、歯医者さんで歯をきれいにするという新しい目標を頂いて、ちょっとわくわくしているくらいなんですから。